為替相場を動かした歴史に残る出来事『スイスフランショック』

スイスフランショック

FX取引が始まった1998年から、かれこれ19年が経過します。
その中でも、これまで為替相場を揺るがす出来事が起こりました。

相場を揺るがした過去の出来事を振り返ってみましょう!

今回は2015年1月に起きた「スイスフランショック」です。

スイスフランショックとは?

スイスの中央銀行であるスイス国立銀行が2011年9月から維持してきたスイスフランに対するユーロの下限(ユーロスイス相場)を1.2000として
無制限介入を行っていくという為替方針を2015年1月15日に突然撤廃しました!
その結果、ユーロスイス相場は一時的に41%の大急落!!

その時のユーロスイスのチャートです。
スイスフランショック
※クリックで拡大

これによって、金融市場は大混乱。
スイス中央銀行の為替介入は3年以上続いていたので、それが突然の終了でスイスフランは急騰しました。
そして、このマーケットの変動の影響が波及していきます。
この一連の事態が「スイスフランショック」と言われています。

スイスフランショックの背景

008年に起きたリーマンショック、
そして2010年からの欧州債務危機で投機マネーはリスク回避から安全といわれていた円やスイスフランへと流入しました。

リーマンショック
FX取引が始まった1998年から、かれこれ19年が経過します。 その中でも、これまで為替相場を揺るがす出来事が起こりました。 相場を揺る...

リスク回避通貨となったことで、通貨高に困っていたスイス中銀は2011年9月にスイスフランの対ユーロでの上限値(ユーロの対スイスフランの下限)を1.2000にすると宣言して、無制限介入を実施することになりました。

スイスフランの上昇を抑えるための為替介入は、スイス中銀がスイスフラン紙幣を印刷し続けることで資金源が尽きる心配がないので、無制限に為替介入を行いました。

しかし時が経つにつれて、スイス中銀の資産は拡大し、ユーロ建ての資産が大きく膨らんでしまいました・・・・・

この状況は、ユーロ下落がスイスの国民資産の減少につながるため、スイス国民の間でも問題視されるようになってきました。
2014年11月にスイス中銀の資産に一定比率の金を組み入れるべきという国民投票が行われて結果は否決だったものの、
スイス中銀に対する政治的なプレッシャーはだんだん高まっていきました。

スイスフランショックの発生

スイスフランショック前の為替市場では、ユーロスイスで1.2000というスイス中銀が保証してくれる絶対的な安心感があって、そのレンジの下限で買いポジションを構築して、少しでも利益が出たらポジションをクローズするというトレードが多く行われていました。
この手法で狙える変動幅は小さいため、投資家は利益を伸ばすため高レバレッジの取引を行っていました。その結果、大量のユーロスイス買いのポジションがどんどん積み上がっていきました。

そんな中、突然の上限値を撤廃!!

リスクへの警戒感が低下していた中で突然思惑が外れることとなった市場参加者たちによる、大量の対スイスでのユーロ買いポジションの損失確定の売りが一気に市場に放出。
ユーロスイス相場はたった20分程度で最大で41%も下落しました。

スイスフランショックの影響(海外FXの場合)

今回のスイスフランショックで、ユーロスイスで取引をしていた欧州の顧客層を持つ海外FX業者が大きな影響を受けました。

海外FX業者は日本のようなレバレッジ規制がないので、海外のFX業者を利用している投資家はハイレバレッジでユーロスイスの買いポジションを持つ取引を多くしていました。
その結果、中には破産に追い込まれたFX業者もあります。

アルパリUKもその一つで、スイスフランショックで発生した大暴落で、多くの損失を出した投資家が追証を迫られました。
しかし多くの顧客は追証を入れることができず、損失のカバーが不可能な状態→その損失が回収できず、2015年1月16日にアルパリ(UK)Limiedが破綻追い込まれてしまいました。

スイスフランショックの影響(国内FX)

スイスフランショックの時、日本ではどうだったのでしょうか。

日本のFX市場はスイスフラン取引量がFX全体の0.2%程度とほんのわずかの為、
そもそも影響を受けた投資家は少なかったようです。

また、日本のFX取引には、金融商品取引法の定めに基づた投資者保護のためのルールがあり、レバレッジ規制、ロスカット・ルールが整備されていることで、
海外FXが受けた打撃ほどの影響は出ませんでした。

しかし突然のレートの急落ですべてのFX業者のロスカット・ルールが完全に機能できていたかというとそうではなく、スイスフランショックの影響を受けた投資家の中には、証拠金以上の多額の損失を出す事例も発生しました。
これがのちの法人口座のレバレッジ規制につながる要因となりました。

スイスフランショックの後、1年以上はスイスフラン絡みの通貨ペアのスワップポイントやスプレッドに影響が出ました。

※スイスフランショック時のスイス円は114.956円→165.731円
スイスフラン円チャート
※クリックで拡大

スイスフランショックでは突然の一瞬の急落で莫大な損を抱えるリスクがFXには必ずあるということを知りました。

そして、リスク管理の重要性と、サーバーが強いFX業者を選ぶことが大事だと感じます。
サーバーが強いFX業者はまた次回紹介したいと思っています!

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